お知らせ・改訂情報

2019.06.11
改正労働施策総合推進法成立 パワハラ防止対策が義務化へ

2019年5月29日、参議院本会議において、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律が可決・成立しました。

この中に労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)が含まれており、以前から議論のあったパワハラ防止対策が法制化されました。


そのポイントは以下のとおりです。

①事業主に対して、パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務(相談体制の整備等)を新設。あわせて、措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備。

②パワーハラスメントに関する労使紛争について、都道府県労働局長による紛争解決援助、紛争調整委員会による調停の対象とするとともに、措置義務等について履行確保のための規定を整備

③セクシュアルハラスメント等の防止対策の強化(男女雇用機会均等法、育児・介護休業法含む)
(1)セクシュアルハラスメント等に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務の明確化
(2)労働者が事業主にセクシュアルハラスメント等の相談をしたこと等を理由とする事業主による不利益取扱いを禁止
※パワーハラスメント及びいわゆるマタニティハラスメントについても同様の規定を整備

2019.06.06
半日単位の年休を導入する際の留意点

年休の取得率を向上させるための対応の一つとして、半日単位の年休制度の導入を検討する企業が増加していることから、基本的な事項も含め、制度導入の際の留意点を確認しておきます。


[1]半日の基本的な考え方

年休はそもそも暦日(0時から24時までの24時間)を休息に充てることを前提に設けられた制度です。したがって、法令で、半日単位で取得することは想定されておらず、会社に半日単位で取得できるようにすることの義務はありません。

一方で、半日程度で済む用事に対し年休を有効的に取りたいという従業員の意向もあり、行政通達で従業員がその取得を希望して時季を指定し、企業が同意した場合には半日単位で取得することが認められる旨が示されています。


[2]半日単位の考え方

半日単位の年休を導入するときには、半日の定義をどのようにするかで実務上、迷うことがあります。定義に関しては法令等で明確な定めはなく、各企業で合理的な方法で決定する必要があります。一般的には、休憩時刻を基準とする方法と所定労働時間の半分とする方法が考えられています。

始業時刻9時、終業時刻18時(休憩:正午から13時までの1時間、所定労働時間8時間)の会社を例にとって考えてみます。


1.休憩時刻を基準とする方法

休憩の正午を基準とする場合、半日単位の年休は、前半が9時~12時の3時間、後半が13時~18時の5時間となります。


2.所定労働時間の半分とする方法

1.の方法では、前半・後半のいずれを取得するかによって、取得できる時間数が異なってきます。そのため、公平性の観点から、所定労働時間の半分を半日とする方法も考えられます。この方法では、所定労働時間の8時間を半分とし、前半を9時~13時、後半を14時~18時として扱うことになります。

この方法を導入するときには、休憩時間をどのように扱うかが問題となり、休憩時間が正午から13時である場合、前半が9時~14時(うち休憩1時間)となります。法律上、6時間以下の場合には休憩時間を設ける必要はないため、場合によっては、半日単位の年休で前半を取得するときには、休憩を設けない方法として9時~13時(休憩なし)とすることも考えられるでしょう。


半日単位の年休の制度を設けるかどうかは従業員の要望と企業の判断によりますが、設ける際には何をもって半日とするかについて事前に取り決め、就業規則で明確に規定しておきましょう。


■参考リンク厚生労働省「確かめよう労働条件 Q&A 年次有給休暇

2019.05.17
社会保険の70歳到達届の手続きについて

2019年4月から70歳到達時の届出が変更になりました。

変更になるものは、以下の①および②の両方の要件に該当する被保険者が、在職中に
70歳に到達した場合であり、70歳到達届の提出が省略できるようになります。

① 70歳到達日以前から適用事業所に使用されており、70歳到達日以降も引き続き
同一の適用事業所に使用される被保険者。
② 70歳到達日時点の標準報酬月額相当額(※)が、70歳到達日の前日における
標準報酬月額と同額である被保険者。

※70歳到達日時点において、70歳以上被用者に支払われる報酬月額を標準報酬月額に相当する金額に当てはめた額

標準報酬月額(相当額)が変更となるときには、引き続き届出が必要となります。

なお、日本年金機構より詳細を記載したリーフレットが公開されています。

日本年金機構リーフレット「70歳到達時の被保険者等の届出が一部省略となります


(参考リンク)
【事業主の皆様へ】被保険者の70歳到達時における資格喪失等の手続きが変更となります
平成31年4月から被保険者の70歳到達時における資格喪失等の手続きが変更となります

2019.05.01
クールビズ実施のご案内

平素は格別のご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。

さて、弊社では地球温暖化防止及び省エネルギー対策の一環として、環境省の推進日程に準じクールビズを実施しております。


【実施期間】
 2019年5月1日〜2019年9月30日

【実施内容】
 ・軽装での勤務を推奨しております。(ノーネクタイ、ンージャケット、半袖シャツ等)
 ・オフィス内の冷房温度を28℃程度に設定。

従業員一同、不快感を与えない対応を心掛けて参りますので、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。
また、弊社へお越しになる際にも、軽装にてお越しくださいますよう重ねてお願い申し上げます。

参考:環境省ホームページ

2019.04.05
偽変造在留カードに関する注意喚起

入国管理局が「偽変造在留カードにご注意ください」という文書をホームページ上に掲載し、注意喚起を行っています。

以下のホームページでは偽変造カードの見分け方等も紹介されています。

偽変造カードを見分けることが難しいですが、在留カードのコピーではなく、現物で確認していくことで、不法就労の防止につなげたいものです。



入国管理局「偽変造在留カードにご注意ください」
http://www.immi-moj.go.jp/soshiki/kikou/pdf/190304-card.pdf


法務省入国管理局「在留カード等番号失効情報照会」
https://lapse-immi.moj.go.jp/ZEC/appl/e0/ZEC2/pages/FZECST011.aspx


「在留カード」及び「特別永住者証明書」の見方はこちら
http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_1/pdf/zairyu_syomei_mikata.pdf

2019.03.14
水道料金、氷の販売と消費税軽減税率

[相談]

今年10月1日から導入される消費税軽減税率について質問です。

水道代には消費税が課税されていますが、この水道代に課される消費税率は、軽減税率8%と10%のどちらなのでしょうか。

また、水道水を凍らせて、10月1日以降に食品として販売した場合に適用される消費税率も教えてください。

[回答]

2019年10月1日以降、水道水の料金に課される消費税率は10%です。また、水道水を凍らせて、同日以降に食品として販売した場合に適用される消費税率は、8%です。

[解説]

1.水道料金になぜ消費税が課税されるのか

消費税法では、国内において「事業者」が事業として対価を得て行う取引に対して、消費税が課税されることとされています。
この「事業者」には、個人事業者や株式会社だけでなく、国や地方自治体(都道府県や市町村)も、国内において事業を行う限りにおいては含まれることとされています。

したがって、水道事業についても、地方自治体が事業として行っていることから、水道料金には消費税が課税されているのです。


2.消費税軽減税率と水道料金の関係

2019年10月1日から導入される消費税軽減税率制度では、飲食料品の販売については、引き上げ後の税率10%ではなく、軽減税率8%が適用されることとされています。

その「飲食料品」には、ミネラルウォーターなど人の飲食用としての水の販売も含まれますが、水道水については、それが飲食用なのかその他の用途(例えば、洗濯用)なのか明確に区分できないとの理由から、軽減税率の対象にはならないこととされています。したがって、2019年10月1日以降の水道料金に対して課される消費税率は、10%となります。


3.水道水を凍らせて販売した場合

水道水を凍らせて人の飲食用として販売する場合には、飲食料品の販売に該当します。

したがって、2019年10月1日以降に、そのような氷そのものの販売を行った場合に適用される消費税率は、軽減税率8%なります。


今回ご覧いただいたように、消費税率軽減税率制度のルールは非常に複雑です。10月1日の制度導入時に自社の事業に大きな混乱が生じることを防ぐためにも、あらかじめ自社の事業について課される消費税率について、税理士等にご確認いただくことをおすすめいたします。


[根拠法令等]消法2、4、消基通5-1-1、改正法附則34、軽減通達2、国税庁「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」など

2019.03.05
確定申告書を提出する前に死亡した場合の手続き

[相談]

個人で事業を行っていた父が平成30年分の確定申告書を提出する準備をしていたところ、平成31年3月1日に脳梗塞で倒れ、4日後の3月5日に亡くなりました。結局父は平成30年分の確定申告書を提出していないのですが、この平成30年分の確定申告はどのようにしたらよいのでしょうか


[回答]

平成30年分の確定申告は、お父様の相続人が手続きを行います。この場合の手続きは“準確定申告”といい、当該準確定申告書の提出及び納付期限は、平成31(2019)年7月5日となります。


[解説]

確定申告書を提出すべき者がその年の翌年1月1日から当該申告書の提出期限までの間に当該申告書を提出しないまま死亡した場合には、その者の相続人が、原則としてその相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に、その提出すべき年分の確定申告手続きを行います。これを“準確定申告”といいます。

ご相談の場合には、平成30年分の確定申告書の提出期限である平成31年3月15日までに当該申告書を提出することなく、平成31年3月5日にお亡くなりになっています。

そのため、お父様の相続人が、3月6日から4ヶ月以内、つまり7月5日を期限として、平成30年分の準確定申告書を提出し、納付税額が発生する場合には納税することとなります。

なお、お父様の平成31年分(平成31年1月1日から死亡した日まで)の確定申告についても、平成30年分と同様に相続人が手続きを行うこととなります。この場合も平成30年分と同様、原則としてその相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内の手続きとなることから、7月5日までに準確定申告書を提出し、納付税額が発生する場合には納税することとなります。


<参考条文>
所法124、125、129

2019.02.22
協会けんぽの平成31年度保険料額表について

平成31年3月分から協会けんぽの健康保険料率、介護保険料率が変更になります。協会けんぽのホームページでは、その変更を反映した平成31年度保険料額表が公開されました。全47都道府県別で、厚生年金保険料額も含めた表になっていますので、ご利用ください。


協会けんぽ「平成30年度保険料額表(平成31年3月分から)

2019.02.12
合同会社から株式会社への組織変更時の資本金

[相談]

合同会社が株式会社に組織変更する場合、組織変更後の株式会社の資本金は合同会社の資本金を引き継ぎますか。

例えば、資本金1億円、資本剰余金9億円の合同会社を株式会社に組織変更する場合、株式会社において資本金1億円、資本準備金9億円とすることは可能でしょうか。


[回答]

1 根拠条文について

持分会社が組織変更をする場合において、組織変更後の株式会社の資本金の額は「組織変更の直前の持分会社の資本金の額」とすることが定められています(会社計算規則第34条第1号)。
また、資本準備金の額は「零」とすることが定められています(同規則第34条第2号)。この規定は、持分会社に「資本準備金」という概念がないことの現れです。


2 ご質問への回答

合同会社は会社法上の持分会社ですので、上記のとおり、株式会社へ組織変更する場合には合同会社の資本金をそのまま引き継ぎます。

また、ご質問いただきました「資本金1億円、資本剰余金9億円の合同会社を株式会社に組織変更をする(持分会社の社員に対して交付する財産が自社株式の前提)」場合、組織変更後の株式会社は資本金1億円、資本準備金0となりますが、会社法451条に基づき※、組織変更の効力が発生したときに、その他資本剰余金の全部又は一部を資本準備金とすることは可能です。 

※株式会社は、株主総会の決議により、剰余金の額を減少して、準備金の額を増加することができるとされています。



当文書は、回答日現在の法律及びその解釈に基づき作成しています。法律や解釈が変化している場合がございますので、当文書を参考に意思決定される際は、専門家に確認・ご相談されることをお薦めいたします。

2019.02.08
期限後申告における配偶者の相続税税額軽減と小規模宅地の特例

[相談]

被相続人Aは平成28年7月に死亡しました。相続人はAの妻Bと子Cの2名で、相続発生時、Cは未成年でした。相続税の申告及び申告期限後3年以内の分割見込書の提出は行っておりません。

現在は裁判所に対し特別代理人の申し立てを行っており審査の結果を待っている状況です。今後裁判所による特別代理人が認定され、提出した分割協議の謄本を取得すると、当然に謄本の日付は取得した日になろうかと思います。

①裁判所より取得した謄本に記載された日が、分割協議の確定日となりますか。
②裁判所による特別代理人の認定がされ分割協議の謄本取得後であっても、配偶者の税額軽減、小規模宅地の特例の適用は可能でしょうか。
③裁判所による認定前に、未分割として申告及び分割見込書の提出を行った方がよいですか。


[回答]

①について

実際に相続人(及び特別代理人)全員が遺産分割協議に同意した日(一般的には遺産分割協議書へ相続人全員の署名押印が揃った日)を分割確定日とするものと考えます。

②について

相続税の申告期限後3年以内に分割が確定すれば、相続税の期限後申告で配偶者の税額軽減及び小規模宅地等の特例適用できるものと考えます。

③について

延滞税の負担を考えると、早急に未分割としての申告及び分割見込書を提出することをお勧めします。

ただし、未分割の申告をすると、当然修正申告又は更正の請求等の2度目の申告が必要なため、手間と費用がかかるものと思われます。

このため、裁判所の認定がいつ頃受けられそうか、そのスケジュールによって、未分割の申告をするかどうかを判断してはいかがでしょうか。


関係法令通達等
 相続税法第19条の2第2項ただし書き
 租税特別措置法第69条の4第4項ただし書き 



当文書は、回答日現在の法律及びその解釈に基づき作成しています。
法律や解釈が変化している場合がございますので、当文書を参考に意思決定される際は、専門家に確認・ご相談されることをお薦めいたします。

2019.02.07
経営力向上計画に係る固定資産税の特例措置について

経営力向上計画の認定に伴い、受けられる税制上の措置としては、現状、大きく次の3つがあります。

1.固定資産税の特例(固定資産税が3年間半減)
2.中小企業経営強化税制(B類型)(法人税(所得税)の100%償却又は10%の税額控除の適用)
3.事業承継等に係る特例(事業再編等を通じて取得した資産に係る登録免許税・不動産取得税の軽減)

 1.と2.については、現行法上、その適用期限が平成31年3月31日となっています。

 このうち2.は平成31年度税制改正の大綱で2年延長措置が示されていますが、1.は延長措置がないため、平成31年3月31日をもって終了となります。


○経営力向上計画に係る固定資産税の特例措置の終了について
 http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2019/190118kyoka.htm


なお、計画に係る固定資産税の特例といえば、生産性向上特別措置法に基づく固定資産税の特例措置が既に施行されています。こちらは、認定を受けた計画に係る一定の設備投資を行った場合、自治体によって最大3年間固定資産税がゼロとなる制度です。

この場合の計画とは、「先端設備等導入計画」です。また、この制度の適用が受けられる自治体は限られていますので、ご留意ください。


○経営サポート「生産性向上特別措置法による支援」
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/seisansei/index.html

2019.02.04
消費税軽減税率対策補助金の補助対象拡大とシステム修正費用の取扱い

[相談]
昨年末に軽減税率対策補助金の補助対象が拡大されたそうですが、その概要を教えてください。
その補助金を活用し、商品の受発注システムを複数税率に対応したものに修正することを計画していますが、その修正費用は税務上、必要経費または損金に算入することができるのでしょうか。

[回答]
軽減税率対策補助金については、これまでは補助対象外とされていた、事業者間取引における区分記載請求書等保存方式への対応のための費用や、複数税率に対応する券売機などに補助対象が拡大され、補助率も引き上げられました。

また、消費税の複数税率に対応した商品の管理や納税額計算のために必要なシステム改修費用であることが作業指図書等で明確にされている場合には、その改修費用は必要経費または損金に算入することが可能とされています。

[解説]

1.軽減税率対策補助金の補助対象の拡大等

今年10月1日からの消費税率引き上げに伴う軽減税率制度導入に向け、複数税率への対応が必要となる中小企業・小規模事業者等に対しては、複数税率対応レジの導入や、受発注システムの改修等を行う際に、その経費の一部を補助する「軽減税率対策補助金」の制度が設けられています。

その補助金を管轄している中小企業庁から、昨年末に軽減税率対策補助金の補助対象を拡大し、さらに補助率を引き上げることが発表されました。

まず、補助対象の拡大の具体的内容は、従来は補助対象外であった、①事業者間取引における区分記載請求書等保存方式への対応について、これに対応するシステムの開発・改修費用等を補助対象とすること、②レジ設置時とは別に行われる商品情報(商品マスタ)の登録費用を補助対象とすること、③複数税率に対応する券売機についても補助対象とすることです。

次に、補助率の引き上げの具体的内容は、2019年1月1日以降に申請されたものについて、①レジの設置・改修、受発注システムの改修等に要する経費の補助率を従来の3分の2以内から4分の3以内に引き上げること、②3万円未満のレジを1台のみ導入する場合の補助率を4分の3以内から5分の4以内に引き上げるこ

2.軽減税率制度の実施に伴うシステム修正費用の取扱い

軽減税率制度の実施に伴って、複数税率に対応した商品の管理や納税額の計算をしなければならなくなったためにレジシステム等に必要な修正を行う場合、そのために要する費用は、レジシステム等に新たな機能を追加したり機能を向上させたりするための費用ではないと考えられます。このため、その費用は資本的支出ではなく、修繕費として取扱われ、必要経費または損金に算入することができることとされています。

ただし、レジシステム等の修正が軽減税率制度の実施に伴って行われるものであることが作業指図書等で明確にされていることが必要とされていますので、この点にはご注意ください。

[根拠法令等]
国税庁「消費税の軽減税率制度の実施に伴うシステム修正費用の取扱いについて
軽減税率対策補助金事務局「軽減税率対策補助金」、「中小企業・小規模事業者等消費税軽減税率対策補助金における圧縮記帳についてのお知らせ」 など

2019.01.15
平成31年度税制改正 閣議決定 各府省庁サイトの公表状況

昨年、平成31年度税制改正大綱が自由民主党(公明党)より公表され、その1週間後の12月21日に、「平成31年度税制改正の大綱」として閣議決定がされました。

○平成31年度 税制改正の大綱(PDF版)https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2019/20181221taikou.pdf

○平成31年度 税制改正の大綱の概要(PDF版)https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2019/31taikou_gaiyou.pdf


この閣議決定を受けて、各府省庁は各々影響のある分野の改正項目をまとめ、同府省庁のサイトで公表しています。

【主要な府省庁のサイト】

◆経済産業省:
平成31年度税制改正について http://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2019/zeisei_k/index.html

◆厚生労働省:
平成31年度厚生労働省関係税制改正について https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000189018_00001.html

◆国土交通省:
・平成31年度税制改正 http://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_006468.html
・マイホーム購入をお考えの皆様へ、住宅ローン減税の控除期間が3年間延長されます!~平成31年度税制改正 消費税率引上げを踏まえた住宅取得対策~http://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000134.html

◆金融庁:
平成31年度税制改正の大綱における金融庁関係の主要項目についてhttps://www.fsa.go.jp/news/30/20181221.html

◆文部科学省:
2019年度 文部科学省税制改正の概要http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/zeisei/1412046.htm

◆内閣府:
税制改正(平成31年度税制改正要望結果)https://www.cao.go.jp/yosan/yosan.html#zeisei

◆農林水産省:
平成31年度税制改正の大綱における農林水産関係事項について http://www.maff.go.jp/j/press/keiei/tyosei/181221.html

◆復興庁:
平成31年度税制改正の概要[平成30年12月21日]http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat8/sub-cat8-3/20181221094144.html

◆総務省:
・税制改正(地方税) http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/ichiran04.html
・平成31年度税制改正の大綱における総務省関係税制要望事項 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kanbo05_02000108.html

2019.01.10
仮想通貨(暗号資産)の法人税法上の取扱いの見直し

[相談]

先日発表された、自由民主党平成31年度税制改正大綱において、仮想通貨の法人税法上の評価方法が見直されたそうですが、どのような取扱いに変わる見込みなのかを教えてください。


[回答]

税制改正大綱によれば、平成31年4月1日以後に終了する事業年度について、法人が事業年度末に有する仮想通貨のうち、活発な市場が存在する仮想通貨については、「時価評価により評価損益を計上すること」、「法人が事業年度末に有する末決済の仮想通貨の信用取引等については、事業年度末に決済したものとみなして計算した損益相当額を計上すること」等の措置が講じられることとされています。


[解説]

1.企業会計基準における仮想通貨の期末評価方法

企業会計基準では、平成30年4月1日以後開始する事業年度の期首より、保有する仮想通貨(暗号資産※1)について、「活発な市場が存在する場合」には、市場価格に基づく価額をもってその仮想通貨の貸借対照表価額とし、帳簿価額との差額は当期の損益として処理することとされています。

反対に、保有する仮想通貨について活発な市場が存在しない場合には、取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末における処分見込価額が取得原価を下回る場合には、その処分見込価額をもって貸借対照表価額としたうえで、取得原価とその処分見込価額との差額は当期の損失として処理することとされています。

なお、「活発な市場が存在する場合」とは、「保有する仮想通貨について、継続的に価格情報が提供される程度に仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所において十分な数量及び頻度で取引が行われている場合」をいうものとされています。

※1 金融庁は、国際的な動向を踏まえ、ビットコインなどインターネット上で取引される仮想通貨の呼び名を「暗号資産」に改めることを検討しています。


2.現行の法人税法上の取扱い

これまで、法人税の実務上は、仮想通貨について期末時価評価する必要はないと考えられていました。これは、法人税法では期末時価評価が求められている資産が法令で限定列挙(短期売買商品、売買目的有価証券など)されているところ、その中に仮想通貨が含まれていないことが理由です。


3.税制改正大綱における仮想通貨の期末評価方法の取扱い変更内容

平成31年度税制改正大綱では、平成31年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税(※2)について、仮想通貨の期末評価方法を、上記1.の企業会計基準に沿って次のような措置を講ずることとされています。

① 法人が事業年度末に有する仮想通貨のうち、活発な市場が存在する仮想通貨について は、時価評価により評価損益を計上する。
② 法人が仮想通貨の譲渡をした場合の譲渡損益については、その譲渡に係る契約をした 日の属する事業年度に計上する。
③ 仮想通貨の譲渡に係る原価の額を計算する場合における一単位当たりの帳簿価額の算 出方法を移動平均法又は総平均法による原価法とし、法定算出方法を移動平均法によ る原価法とする。
④ 法人が事業年度末に有する末決済の仮想通貨の信用取引等については、事業年度末に 決済したものとみなして計算した損益相当額を計上する。

※2 平成31年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度について、会計上仮想通貨につき時価評価していない場合には、上記①及び④を適用しないことができる経過措置が講じられることとされています。

現在も、ビットコインなどの仮想通貨の取引価格は短期間で大きく変動しています。上記の期末時価評価が実施されれば、法人税の納税額が決算直前で大きく増減する可能性が生じるとともに、決算時点から申告・納税時期までの価格変動によって納税資金の確保が難しくなる場合も考えられます。


[根拠法令等]
法法61、61の3、法令118の4、119の12、資金決済に関する法律2、自由民主党「平成31年度税制改正大綱」、企業会計基準委員会「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」、金融庁「仮想通貨交換業等に関する研究会(第11回 平成30年12月14日開催)報告書(案)」など

2018.12.10
介護医療院へ支払った費用と医療費控除

[相談]

 要介護状態となり長期療養が必要になった私の母が、近隣の医療施設内にある「介護医療院」に入所することとなりました。
 その介護医療院に支払う各種費用は、所得税法上の医療費控除の対象となるのでしょうか。


[回答]

 介護医療院に支払う各種費用のうち、施設サービスの対価として支払った金額(介護サービスの費用の自己負担額、食費、居住費)については、所得税法上の医療費控除の対象となります。


[解説]

1.介護医療院とは

 介護医療院とは、大まかに言うと医療機能を併せ持っている介護施設のことです。
 具体的には、これまでの「介護療養病床」に代わって、長期間の療養と医療的対応が必要な要介護者を受け入れ、終末期ケアや看取りケアにも対応し、生活の場としての機能を持つ介護保険施設のことを言います。

2.医療費控除の対象となる介護医療院の費用

 介護医療院に支払った費用で医療費控除の対象範囲となるものは、施設サービスの対価(介護費、食費及び居住費)として支払った額と定められています。
 具体的には、下記のとおりです。

①介護医療院での施設介護サービス費用の自己負担額(食事費用と居住費用以外)
②介護医療院が行う訪問看護等の居宅サービス費用や介護予防サービス費用の自己負担額
③介護医療院での食事費用の自己負担額(厚生労働省が定める食事費用に該当するもの)
④介護医療院での居住費用(厚生労働省が定める居住費用に該当するもの)
※介護医療院入所者のおむつ代は、介護費として介護保険給付の対象に含まれているため、その自己負担額が医療費控除の対象になります。
※理美容代など、日常生活においても通常必要となるものの費用で、入所者が負担することが適当であると認められる費用(日常生活費)は、医療費控除の対象外とされています。
 上記について、介護医療院は、医療法に定める「病院」や「診療所」には該当しませんが、医療法以外の法律(健康保険法、国民健康保険法等の一定の法律を除きます)では、原則として「病院」や「診療所」に含まれることとされていること等の理由から、介護医療院の施設サービス費用の自己負担額等は、医療費控除の対象となるものとされています。

 なお、厚生労働省では、介護医療院に支払った費用の領収証の記載について、医療費控除対象額が明らかになるようにするため、上記①~④の区分ごとにその金額を記載することや、医療費控除の合計対象額を記載するように努めることを通知していますので、各介護医療院が発行する領収書を確認すれば、医療費控除の対象額を具体的に確認することができるのではないかと思われます。



[根拠法令等]
 所法73、所令207、所規40の3、平12・6課所4-9、国税庁「介護保険制度下での介護サービスの対価に係る医療費控除の取扱いについて(情報)」、介護保険法8、115、厚生労働省「「介護保険制度下での介護サービスの対価に係る医療費控除の取扱いに係る留意点について」の一部改正について」など

2018.11.28
自社株取得の際の課税関係

[相談]

非上場法人A(法人Bが株式の25%を所有)
非上場法人B(法人Aの役員2名で株式を100%所有している)

法人A株式(1株当たり)
・発行価格 1,000円
・法人Bの取得価格 50,000円
・現在の評価額(原則評価方式) 10,000円

今回、法人Bが所有する法人Aの株式を法人Aが購入することを検討しています。自己株式の取得になりますが、この際の課税関係を教えてください。

1.法人Aが購入する価格は評価額10,000円で課税上の問題はありますか。

2.法人Bでは有価証券売却損が計上されますが、この場合でも発行価格1,000円と売却価格(評価額で売却予定)10,000円の差額9,000円がみなし配当にあたり、20.42%の源泉徴収の対象になるでしょうか。

3.みなし配当は受取配当金計上する必要はありますか。計上する場合、関係会社株式の売買におけるみなし配当は益金不算入の対象になるでしょうか。


[回答]

1.自己株式の評価額

未上場株式の評価額については、法人税法上、期末の時価に係る評価規定(法基通9-1-13、9-1-14)による限り、課税上の問題は生じないものと思われます。

ご質問における原則評価方式による評価額がどのような評価額であるか明らかではありませんが、仮に時価純資産法による評価額であるときは、特段の問題は生じないものと考えられます。


2.B社における取扱い

(1)みなし配当
A社株式(自己株式)の譲渡により交付を受けた金額から、A社の資本金等の額に対応する部分の金額を控除した金額がみなし配当の額とされます(法法24①五、法令23①六)。

上記における資本金等の額に対応する部分の金額は、必ずしも発行価額と一致するものではありませんのでご留意ください。

なお、みなし配当における源泉徴収税率は、ご理解のとおりです。

(2)株式の譲渡損益
A社株式(自己株式)の譲渡により交付を受けた金額から、上記1.のみなし配当の額を控除し、その残額を自己株式の譲渡対価として、譲渡直前の帳簿価額との差額を株式の譲渡損益として計上することになります(法法61の2①一)。


3.みなし配当について

みなし配当は、当然に受取配当等の益金不算入の対象となります(法法24①)。
自己株式の取得がみなし配当事由とされていることから(法法24①五)、本件A社株式の譲渡により生ずるみなし配当は、受取配当等の益金不算入の対象となります。

なお、益金不算入額の計算における関連法人株式は、持株比率が1/3超のものとされていますのでご留意ください(法法23⑥)。

また、益金不算入の適用にあたり、会計上、受取配当金としての計上は求められていませんので、会計処理に関わらず益金不算入の適用対象となります(なお、A社はみなし配当に関する事項について通知義務があります(法令23④))。



当文書は、回答日現在の法律及びその解釈に基づき作成しています。法律や解釈が変化している場合がございますので、当文書を参考に意思決定される際は、専門家に確認・ご相談されることをお薦めいたします。

2018.11.20
2019年4月から基準が変更される医師の面接指導

働き方改革関連法が成立したことにより、労働安全衛生法が改正され、産業医と産業保健の機能が強化されることになります。


[1]変更される長時間労働者への医師による面接指導とは

長時間労働者への医師による面接指導とは、そもそも脳・心臓疾患の発症を予防するために、長時間労働により疲労の蓄積した従業員に対する医師による面接指導の実施を会社に義務づけたものです。具体的な対象者は、時間外・休日労働が1ヶ月100時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められると申し出た従業員(※)になります。

2019年4月よりこの対象者の基準が1ヶ月100時間から80時間に変更され、また、会社が労働時間の計算を行った際、1ヶ月80時間を超えた従業員に対して、この時間数の情報を通知することが求められるようになります。

(※)期日前1ヶ月以内に面接指導を受けた従業員等、面接指導を受ける必要がないと医師が認めた従業員を除く。


[2]36協定の特別条項における医師の面接指導


[1]の労働安全衛生法に基づく実施のほか、2019年4月(中小企業は2020年4月)からスタートする時間外労働の上限規制に関する健康福祉確保措置として、この医師による面接指導が挙げられています。

健康福祉確保措置とは、36協定の特別条項を設ける場合に求められる、限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置のことをいいます。この措置にはいくつかありますが、「労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること」がその一つとして挙げられています。

会社がこの医師による面接指導を措置として選択した場合、対象となった従業員に対して面接指導を実施し、この実施状況に関する記録を36協定の有効期間中と有効期間の満了後3年間保存しなければなりません。


この他、労働安全衛生規則が改正され2019年4月より、[1]でとり上げた面接指導を実施するために行う労働時間の把握については、タイムカードによる記録、パーソナルコンピューター等の電子計算機の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)の記録等の客観的な方法その他の適切な方法で行うことが定められています。

今後は、労働基準と安全衛生の両面から、労働時間の把握が求められることになります。

2018.11.16
少額減価償却資産の特例の限度額

[相談]

数年前から個人でパソコン教室を経営しています。平成30年に教室で使用するパソコンを買換えました。当初、26万円(税抜き)のパソコン11台を購入したのですが、もう1台必要となり、同年中に新たにパソコン1台を追加購入しました。このパソコンも同額の26万円でした。これらのパソコン全てを少額減価償却資産として、平成30年分の確定申告で必要経費とすることはできますか?

なお、雇っている従業員の数は3名で、私は青色申告で毎年確定申告を行っており、消費税の納税義務者として、税抜き経理方式を採用しています。


[回答]

12台分全てを少額減価償却資産として、平成30年分の確定申告で必要経費とすることはできません。


[解説]

青色申告者である中小事業者(常時使用する従業員の数が1,000人以下)が、平成18年4月1日以後平成32年(2020年)3月31日までの間に、30万円未満の少額減価償却資産(少額な減価償却資産や一括償却資産の適用を受けるものを除く)を取得等した場合、その年に当該取得等した価額の合計額300万円を限度(※)に必要経費とすることができます。

本事例では、26万円(税抜き)のパソコンを12台ということですから合計312万円(26万円×12台)となりますが、300万円を超えているためその全てを平成30年分の確定申告で少額減価償却資産として、必要経費とすることはできません。12台のうち300万円に達しない11台分、つまり、286万円(26万円×11台)を少額減価償却資産として必要経費とすることができ、残りの1台分(26万円)は通常の減価償却を行うこととなります。

(※)業務開始年や廃止年などで、業務を営んでいた月数が1年(暦年)に満たない場合には、当該業務を営んでいた月数(端数切上げ)分が限度となります。つまり、300万円を12で除して業務を営んでいた月数を掛けた金額が限度です。



<根拠法令等>
 措法28の2、大阪国税局「個人課税関係誤りやすい事例(所得税法関係) 平成29年版」

2018.11.13
個人事業者急死に伴う事業の引き受けと債務

[相談]

個人事業者A(飲食店)が急死しました。
Aの事業は個人B(Aの相続人ではない)が引き継ぎました。Aには債務がありましたが、BはAの債務をすべて引き受けざるを得ないのでしょうか。Aの相続人は、相続放棄をする予定をしています。


[回答]

1 事業というと抽象的ですが、個人事業主Aの財産や権利、債務等は、あくまで個人Aに帰属していましたので、(遺言などAの生前行為による以外)相続人ではないBが事後的に直接承継することはできません。

2 また、Aの相続人から、相続財産である「Aの事業」について事後的に譲渡を受けることは有り得ますが、本件では、Aの相続人は相続放棄を選択するようですので、相続人として譲渡もできません(譲渡したら、相続の承認となり、放棄はできません) 。

厳密にいえば、相続人が全員放棄したことにより、相続人不存在となり、相続財産管理人を選任して換価・清算手続が予定されますが、そのコストと手間をかけてまで誰が申立をするのか、という状況になります。

3 そうしますと、本件では、事業を引き継ぐというよりは、Bが新規事業として、店舗や雇用などを新たな契約で開始するというのが、現実的な話ではないかと思います。

相続人が不存在となった状況では、(賃貸だとすれば)物件オーナーや従業員なども困っていると思いますので、Bが同種事業を開始することに協力してくれるのであれば、事実上承継した形に近い状況になるのではないでしょうか(店舗自体がAの所有物件の場合は、前記のとおり相続放棄により、相続財産管理人による処分を経る必要があります)。

4 なお、 Bが、Aの店舗、屋号(=商号)をそのまま使用して飲食店を営むとしましたら、商法第17条1項(譲渡人の商号を使用した譲受人の責任)により、Bは、「Aの営業によって生じた債務」を弁済する責任を負う可能性も否定できませんので、むしろ屋号を変えるなど、新たな別の店舗としてスタートさせる方が望ましいと思います。



当文書は、回答日現在の法律及びその解釈に基づき作成しています。法律や解釈が変化している場合がございますので、当文書を参考に意思決定される際は、専門家に確認・ご相談されることをお薦めいたします。

2018.11.12
災害用備蓄品と法人税

[相談]

私の会社では、地震や台風などの災害に備え、会社に乾パンや飲料水などの非常用食料品や、毛布やヘルメットなどの防災用備品を備蓄することを検討しています。
これらの物品を実際に購入した場合、法人税法上はどのように取り扱われるのでしょうか。


[回答]

ご相談の場合、非常用飲食料品については購入時に全額損金(法人税法上の経費)に算入できます。また、防災用備品については、1点の価格が10万円未満のものであれば、購入時に全額を損金算入できるものと考えられます。


[解説]

1.消耗品の法人税法上の取扱い(原則)

(1)棚卸資産に該当する場合

法人税法上、消耗品(例:事務用品)であっても、未消費で貯蔵中のものについては、原則として棚卸資産に計上しなければならないこととされています。

ただし、会社が毎期おおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費する消耗品に限って、その消耗品の購入価額を継続してその購入した事業年度において損金経理している場合には、これを認めることとされています。


(2)減価償却資産や繰延資産に該当する場合

法人税法上、棚卸資産に該当しない消耗品であっても、器具備品などの固定資産に該当するもので、その購入価額が10万円以上であるものについては、原則として減価償却資産に計上しなければならないこととされています。

また、会社が支出する費用で、自己が便益を受けるために支出する費用等については、原則として繰延資産に計上しなければならないこととされています。


2.災害用備蓄品の取扱い

(1)非常用食料品の取扱い

上記1.の原則的な考え方によれば、非常用食料品については、その購入金額や購入数量・消費数量等にしたがって、損金に計上できる場合と棚卸資産に計上すべき場合にその取扱いが分かれることとなります。

しかし、非常用食料品については備蓄した時点で消費したものとして取り扱うことされているため、棚卸資産として計上する必要はありません。

また、食料品はそもそも固定資産や繰延資産には該当しません。
さらに、消火器の消化液については、未使用であっても取替時の損金として認められていることなどから、非常用食料品については購入時に損金算入できることとなります。

(2)防災用備品の取扱い

毛布やヘルメットなどの防災用備品については、上記1.の原則的な考え方にしたがって、例えば1点の購入金額が10万円を超えるような物品については、減価償却資産に計上しなければならないと考えられます。


[根拠法令等]
 法令10、13、14、133、法基通2-2-15、国税庁法人税質疑応答事例「非常用食料品の取扱い」など

2018.11.09
医療法人の出資持分放棄

[相談]

医療法人が出資持分を放棄する場合、決算書等に記載されている出資金はそのまま残ったままとなるのでしょうか。何か仕訳をする必要があるのでしょうか。


[回答]

以下のような仕訳となります。

【出資額限度法人でない持分あり医療法人が、基金拠出型医療法人でない持分なし医療法人へ移行する場合】

□会計上の仕訳
(出資金)×××円/(資本剰余金)×××円

□税務上の仕訳
(資本金等の額)×××円/(利益積立金額)×××円


【出資額限度法人が、基金拠出型医療法人へ移行する場合】

□会計上の仕訳
(出資金)×××円/(基金)×××円

□税務上の仕訳
(資本金等の額)×××円/(基金)×××円
※基金は利益積立金額、資本金等の額のどちらにも記載しない



当文書は、回答日現在の法律及びその解釈に基づき作成しています。法律や解釈が変化している場合がございますので、当文書を参考に意思決定される際は、専門家に確認・ご相談されることをお薦めいたします。

2018.11.02
産休中の賞与支給

[相談]

産休に入った従業員から「賞与の振込みがない」と問合せがありました。賞与の計算期間中の勤務に対する賞与の要求ですが、産休中ですし、できれば支給したくないのが本音です。就業規則等には、産休中の賞与の取り扱いの規程はありません。支給しない場合、何か法的な問題はありますか。


[回答]

賞与の算定期間中に産休に入った場合でも、その期間中に通常の勤務実績があれば、その分について賞与の支給が必要です。

産休時の賞与計算で認められているのは、算定期間中に休業していた不就労分を日割りで控除することのみであり、それ以上を控除することはできません。これは就業規則に取扱いが規定されていなくても適用されるルールです。

産休に入ったことを理由に賞与を不支給とするのは、男女雇用機会均等法や育児休業法に規定されている「妊娠出産による不利益取り扱い」(いわゆるマタハラ)に該当し、労働局から指導を受ける可能性があります。


※当文書は、回答日現在の法律及びその解釈に基づき作成しています。法律や解釈が変化している場合がございますので、当文書を参考に意思決定される際は、専門家に確認・ご相談されることをお薦めいたします。

2018.10.30
労働条件の明示について

労働基準法第15条第1項では、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」と規定しており、労働契約の期間に関する事項等、13項目について明示が求められています。

そして、以下の5項目((4)の内、昇給に関する事項を除く。)については、労働者への書面の交付による明示が求められていますが、2019年4月に施行される改正労働基準法施行規則第5条第3項により、書面の交付による明示以外の方法が利用できるようになります。

[書面の交付により明示が求められている項目]
(1)労働契約の期間に関する事項
(2)就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
(3)始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
(4)賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
(5)退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
 具体的な変更点としては、労働者が希望した場合には、①ファクシミリの送信、②電子メール等の送信(労働者が電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)により明示することが可能、というものです。

入退社が多いような企業では、労働条件の書面による通知が徹底されないことから、トラブルを引き起こす事例も多くあるかと思います。労働者が希望したとき、および、労働者が出力(印刷)ができるとき、というポイントはあるものの、トラブル防止のためにも明示の方法の選択肢として検討してもよいかも知れません。

参考リンク法令等データベース「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発0907第1号)」厚生労働省「採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました。具体的には何を明示すればよいのでしょうか。

2018.10.25
2019年4月より新しい様式となる36協定届

働き方改革では長時間労働の是正が大きなテーマとなっており、中でも36協定の重要性が高まっています。今回の法改正を受け、2019年4月より「時間外労働・休日労働に関する協定届」(以下、36協定)の様式が変更となり、すでに新しい様式が公開されました。


1.変わる36協定の様式

36協定の新様式を確認すると、旧様式から大きく変更されたようには見えませんが、労働保険番号と法人番号の記載が求められるようになり、36協定で定める時間数にかかわらず、「時間外労働及び休日労働を合算した時間数は、1箇月について100時間未満でなければならず、かつ2箇月から6箇月までを平均して 80時間を超過しないこと。」というチェックボックスが設けられました。
このチェックボックスにチェックがない場合、届け出た36協定は法定要件を欠くものとして無効となるため、36協定の内容を適切にするとともに、必ずチェックを入れるようにしましょう。


2.一般条項と特別条項に分けられた様式


今回の改正により、特別条項を設けない一般条項用の様式と、特別条項を設ける場合の特別条項用の2つの様式が用意されました。特別条項用の様式は、限度時間までの時間を協定する1枚目と、特別条項を定める2枚目の2枚組で作成および協定を行い、届け出ることになります。

また、特別条項用の様式には、これまで特別条項で定める必要があった項目が整理され、「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置」を定める欄が設けられました。


3.新たに定めることになる健康福祉確保措置


特別条項に追加された「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置」には、限度時間を超えて労働する労働者に対する健康福祉の確保措置を記載することになります。その内容は以下の10項目の中から選択し、番号と具体的内容を書くことになります。

(1) 労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること。
(2) 労働基準法第37条第4項に規定する時刻の間において労働させる回数を1ヶ月について一定回数以内とすること。
(3) 労働時間を延長して労働させる者について終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること。
(4) 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること。
(5) 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること。
(6) 年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること。
(7) 心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること。
(8) 労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること。
(9) 必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による保健指導を受けさせること。
(10) その他
この健康福祉確保措置の実施状況に関する記録は、36協定の有効期間中および有効期間の満了後3年間保存することになっています。


36協定は時間外労働や休日労働を行う際の重要な手続きであり、時間外労働等が発生する前に労働基準監督署へ届け出をしなければ労働基準法違反となるものです。新しい様式での締結はまだ先になりますが、厚生労働省より記載例も出ていることから内容を確認しておきましょう。

■参考リンク
厚生労働省「「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について

2018.10.25
被災した場合の所得税の予定納税額の減額申請

[相談]

私は個人で農業を営んでおりますが、10月に私の住む地域を襲った台風により農業用ハウスが崩壊したり、自宅が浸水したりするなど、大きな被害を受けました。
それらの損害によって、今年の所得は昨年より大きく減少する見込みです。

11月末には所得税の第2期分の予定納税があるのですが、このような場合、予定納税額を減額してもらうことはできないのでしょうか。

なお、私は所得税法上の特別農業所得者(※1)の承認申請は行っておりません。また、災害等による期限の延長(※2)の適用も受けておりません。

※1 特別農業所得者とは、その年において、農業所得(米、麦、たばこ、果実、野菜・は花の生産・栽培、養蚕等の事業から生ずる所得)の金額が、総所得金額の10分の7に相当する金額を超え、かつ、その年の9月1日以後に生ずる農業所得の金額がその年中の農業所得の金額の10分の7を超える人(一年の農業所得の大半が毎年9月1日以降に発生する人)をいいます。
※2 災害等による期限の延長とは、納税者が災害等による被害を受けた場合に、国税庁長官が対象者や対象地域等を指定したり、納税者からの個別申請をしたりすることよって、税金の納期限等が延長される制度をいいます。この制度によって予定納税額の納期限がその年12月31日後となる場合には、その期限延長の対象となった予定納税額は、ないものとされます。

[回答]

ご相談の場合は10月に被害を受けていますので、[解説]2.(1)あるいは(2)の申請をすることで、第2期分の予定納税額を減額してもらうことができます。


[解説]

1.所得税の予定納税制度の概要

所得税の予定納税とは、前年分の所得金額や税額などを基に計算した「予定納税基準額」が15万円以上である場合、その年の所得税(復興特別所得税を含みます。以下同じ。)の一部を、確定申告前にあらかじめ納付(前払い)する制度です。

この予定納税は、第1期(7月1日から7月31日まで)と第2期(11月1日から11月30日まで)の2回、それぞれ予定納税基準額の3分の1の金額を納付することとされています。


2.災害による被害を受けた場合の予定納税額の減額申請(7月1日以後に災害を受けた方の場合)

(1)災害減免法による所得税の軽減免除の適用を受けることのできる人(災害による住宅や家財の損害金額がその時価の2分の1以上で、かつ、災害を受けた年の所得金額の合計額が1,000万円以下の人など)で、災害を受けた日において見積もったその年分の所得税の額が予定納税基準額に満たないときは、災害にあった日から2か月以内に、第1期分又は第2期分の予定納税額の減額を申請することができます。

(2)上記(1)の適用を受けない方でも、10月31日までの間に災害を受けた方であれば、10月31日の現況によりその年の申告納税額を見積り、11月15日までに第2期分の予定納税額の減額申請をすることができます。


このように、災害による被害を受けた場合には、納付すべき税額等について各種の減免措置が設けられていますので、最寄りの税務署や顧問税理士にお早めにご相談ください。

[根拠法令等]
 通法11、所法104、105、111、112、113、114、災免法2、3、災免令3、復興財確法33など

2018.10.11
相続時精算課税の受贈者要件である孫とは

[相談]

乙には実子がおらず、養子が2人(AとB)いました。養子Aと養子Bは夫婦で、二人には子が1人Cがいます。Cは、乙とABが養子縁組をする前に生まれた子で、現在は成人しています。また、Bは既に他界しています。

この度、乙がCに贈与を行いました。受贈者Cは養子AとBとの実子ですが、乙とABの養子縁組前に出生した子なので、CはBの代襲相続人にはなりません。

今回の贈与について、できれば精算課税贈与を適用したいのですが、受贈者の要件に「推定相続人および孫」とあります。上記の事情より、Cは推定相続人には該当しませんが、孫には該当するでしょうか。


[回答]

養子縁組前に生まれた受贈者Cは孫に該当しないため、相続時精算課税の特例は受けられません。


参考:
国税庁タックスアンサー「No.4303 年の中途に推定相続人となった場合の相続時精算課税の適用」より「Q 養子縁組の前に生まれた養子の子は、養親の孫になるか(相続時精算課税関係)」関係法令通達等  租税特別措置法第70条の2の6


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2018.10.11
半日年休を取得した場合の残業代

[相談]

当社では、正社員の所定労働時間を午前9時から午後6時までとしており、終業時刻である午後6時以降に勤務した場合に残業代を支給しています。

その前提で、正社員が午前中(午前9時から午後1時)のみ半日の有給休暇を取得し、午後1時に出社した上で、午後7時まで勤務した場合の残業代はどのように考えればよいでしょうか。1日8時間を超えていないため、残業代の支給は不要になるのでしょうか。それとも1時間分、割増賃金ではなく時間単価での支給となるのでしょうか。


[回答]

割増賃金の支給については、就業規則等に特に定めがない場合は、実労働時間で考えます。よって実労働時間が1日8時間、1週40時間を超えない場合は、割増賃金(25%)は必要ありません。

一方、年次有給休暇については、所定労働時間働いたものとして通常の賃金を支払うこととしている場合が一般的ですので、半日有給+半日出勤で通常の賃金は支給しなければなりません。

したがって、所定労働時間を超え、実働8時間を超えない時間については割増のない本体賃金部分(100%)の支給が必要となります。もし実労働時間が8時間を超える場合にはそこにも時間外手当(125%)の支給が求められます。

当文書は、回答日現在の法律及びその解釈に基づき作成しています。法律や解釈が変化している場合がございますので、当文書を参考に意思決定される際は、専門家に確認・ご相談されることをお薦めいたします。

2018.10.05
特別受益と遺産分割

[相談]

母が亡くなりました。相続人は私と兄の2人で、遺産は預金の4000万円があるだけです。ですが、兄は母の生前に、家を新築する費用として1000万円を出してもらったと聞いています。兄は、平等に2000万円ずつで分けようと言いますが、生前何ももらっていない私としては不平等と感じています。平等に分ける方法を教えてください。


[回答]

お母様が生前に、お兄様へ新築費用として贈与している1000万円については、お母様の遺産に加えて分割することが可能です。

相続人の中に、生きている間に行われた贈与(以下、「生前贈与」と言います。)等によって被相続人から特別に利益を得た人がいる場合は、相続開始時の財産に、その贈与によって得たものの価額を加えたものを相続財産とみなすとされています(民法第903条:以下、「みなし相続財産」と言います。)。その特別に得た利益のことを特別受益と言い、生前贈与のうち、特別受益として認められるものは、

①婚姻若しくは養子縁組のための贈与
②生計の資本としての贈与

に限られます。

お兄様はお母様のご存命中に家の新築資金として現金を受け取られていますが、これは生計の資本としての贈与(特別受益)であり、相続財産に加えることになります。

この場合のお二人の相続分を計算すると、
   みなし相続財産(4000万円+1000万円)×法定相続分(1/2)= 2500万円
となり、お兄様が具体的に取得される相続分は
   2500万円-生前贈与分(1000万円)=1500万円
となります。

なお、特別受益の価額は、相続開始時の時価で評価をします。仮に生計の資本として不動産の贈与があり、贈与当時の時価が5000万円であった場合でも、相続開始時の時価が3000万円であれば、3000万円の評価額として相続財産へ加えることになります。

なお、これらはすべて被相続人が何らの意思表示をしていなかった場合について適用されるものですので、被相続人の方が、これとは異なった意思表示をした場合には、その意思に従うこととなります(民法第903条第3項)。

2018.10.05
被合併法人の申告内容に否認事項が生じた場合の処理

[相談]

合併法人A社と被合併法人B社が、無対価の適格合併を行いました。B社に税務調査が入り、引継ぎ資産としての売掛金等、合併仕訳に影響を及ぼす科目に修正が入った場合、実務上はどのような対応をすることになるでしょうか。

例えば、以下の全てを税務申告書上で処理する、という理解で良いでしょうか。

 【B社】
  1. 修正申告の内容
   ・被合併法人B社で計上すべき売上が合併後のA社で計上されていた。

  2. 修正申告(税務仕訳と申告調整)
   売掛金(別表5)/売上もれ(別表4加算)

 【A社】
  1. 会計仕訳
   現預金/売上
  2. 税務仕訳と申告調整
   (1) 被合併法人の否認項目の引継ぎ(税務上の合併受入仕訳の修正処理)
      売掛金(別表5)/利益積立金額(別表5) 
   (2) 引継いだ被合併法人の否認項目に係る認容処理
      売上もれ認容(別表4減算)/売掛金(別表5)


[回答]

ご理解のとおりで差支えありません。

適格合併において、被合併法人における合併前の申告内容について、税務上の非違事項が生じた時は、その一時差異項目を合併法人に引き継ぐことになります。

手順としては、以下となります(適格合併を前提とします)。

1. 被合併法人の合併前の申告書に係る修正申告書の提出(提出者は合併法人)
2. 上記1.で生じた一時差異項目を合併法人で引き継ぐ
3. 上記2.で引継いだ一時差異項目について、会計上、修正経理を行った場合には合併法人の申告において申告調整により認容処理を行う


当文書は、回答日現在の法律及びその解釈に基づき作成しています。法律や解釈が変化している場合がございますので、当文書を参考に意思決定される際は、専門家に確認・ご相談されることをお薦めいたします。

2018.10.04
海外出向者の社会保険

[相談]

タイへの法人設立を検討しています。従業員Aを日本国内の会社から在籍出向という形で、タイの現地法人に出向させます。A現地法人での取締役にも就任予定で、出向期間は1年以上となる見込みです。給与は、日本国内では従来通り支払いますが、現地法人からは役員報酬として現地通貨で支払うことも検討中です。

この場合、社会保険は従来通り日本国内のみで問題ないでしょうか。その他、留意点はありますか。


[回答]

1.社会保険について

【日本の社会保険について】

海外勤務者に関する社会保険の取り扱いは、国内企業からの賃金支払関係と指揮監督関係について判断されます。当該勤務者の指揮監督、賃金支払等直接の人事管理をすべて現地法人が行う場合は、国内企業との使用関係は終了したとして資格を喪失しますが、 ご質問のように、海外勤務中の給与支払が国内企業からなされるということであれば、国内の社会保険被保険者資格は継続すると考えられます。

ただし、海外出向者の社会保険の取扱いにつきましては、人事労務管理の状況と併せて判断されるケースが多く、実際の支給方法や支給割合によって、今回いただいた情報のみで判断させていただいた回答と実際の取扱いが異なる場合も考えられます。取扱いについては管轄の年金事務所、健康保険組合等に事前に相談されることをお勧めします。


【介護保険について(日本)】

海外に居住する場合は、介護保険サービスは適用除外とされています。海外勤務者で、第二号被保険者の場合には、「介護保険適用除外該当届」を提出することにより、住民票を除票した月から介護保険料を支払う必要がありません。


【海外赴任国の社会保険について】

長期間にわたって海外勤務等をする場合には、相手国側の社会保障制度への加入義務が生じます。したがって、現地の社会保障制度の保険料と、日本の社会保険料とが二重にかかることになります。

現地での年金制度への掛け捨て、および日本との二重加入の防止のために「社会保障協定」がありますが、タイとは締結されていませんので、現地国制度の取扱い次第となります。


2.その他留意点について

【労災保険】

日本からの指揮命令において働く海外出張ではなく、海外法人の組織に組み入れられ働くこととなる海外出向では、日本の労災保険は適用されないため、一般的には、労災保険の特別加入の申請を行い、適用を受けられるよう手続きを行っておくことになります。

また、労災給付ついては、一旦海外の医療機関へ全額を支払い、その医療機関より証明を受けておき、翻訳した証明を添付して申請を行う必要があります。

このように、全額立替となることが不便ですから、海外出向される多くの場合は、民間の海外旅行保険にも加入し、そちらでキャッシュレスで給付を受けることが一般化しています。


【海外出向規程】

海外に出向させる際には、出向の定義(雇用関係等)、出向期間、保険関係、勤務条件、出向期間の取扱い(勤続年数、昇進・昇格等)、給与等を海外出向規程等において明確にしておくべきでしょう。



※当文書は、回答日現在の法律及びその解釈に基づき作成しています。法律や解釈が変化している場合がございますので、当文書を参考に意思決定される際は、専門家に確認・ご相談されることをお薦めいたします。

2018.10.02
NISA口座 非課税期間終了時における手続きについて

NISAの非課税期間は5年間ですから、2014年中の購入に関しての非課税期間の終了は2019年1月1日となります。実質、2018年末ということになりますが、この非課税期間終了に伴う取扱いが日本証券業協会のサイトで公表されました。


○【2014年に一般NISA口座で購入されたお客様へ】非課税期間終了時におけるお手続きのお知らせ
http://www.jsda.or.jp/sonaeru/oshirase/files/nisahikazeikikansyuuryou.pdf


非課税期間終了後の取扱いについて、次の2種類のうちいずれかを選択します。
ロールオーバー(新たな一般NISA口座への移管)
課税口座へ移管

1.を選択した場合は、手続きを行うことで引き続き5年間の非課税を使うことができます。

2.を選択した場合は、特定口座の保有有無により、次のように手続きが異なります。

特定口座を一般NISA口座と同一部店に持っている場合
…特定口座へ自動移管されます。一般口座へ移管したい場合には別途手続きが必要。

特定口座を一般NISA口座と同一部店に持っていない場合
…一般口座へ移管

1.のロールオーバーについては、引き続き5年間の非課税措置を適用することができますので、株価上昇等にある場合には売却に係る譲渡益が非課税となることとなりますので有利ですが、一方、株価低迷等により譲渡損が発生した場合には損益通算することができません。
どちらを選択した方が有利かは、その状況次第、というところでしょう。


なお、同協会のサイトでは、一般NISA・ジュニアNISA口座開設・利用状況の調査結果がその都度公表されています。

○NISA及びジュニアNISA口座開設・利用状況調査結果について
http://www.jsda.or.jp/shiryo/chousa/nisajoukyou.html

この時系列データによれば、2018年7月6日に公表された2014年勘定分は8,784億円あります。これが年末までに売却等が行われ、どれだけ残高が残るかは不明ですが、今般の非課税期間終了対象分となります。該当者へは各証券会社から案内等通知が届いているかと思います。今一度ご確認の上、年末までにどうされるかの意思決定と手続きが必要です。

2018.10.01
所得拡大促進税制と教育訓練費助成金

[相談]

中小企業者等に係る所得拡大促進税制では、教育訓練費が前年度比10%以上増加していること等の要件を満たす場合には税額控除額が上乗せされますが、その教育訓練費には、資格試験受験料(従業員の職務遂行に必要な知識や技術等を習得させるための教育訓練の一環として従業員に受験させるもの)を企業が負担した場合のその負担額は含まれるのでしょうか。

また、その技能検定を実施するにあたって助成金を受給した場合、その助成金受給額を教育訓練費の額から除外する必要はあるのでしょうか。


[回答]

ご相談の場合、企業が負担した従業員の資格試験受験料は所得拡大促進税制における教育訓練費の額に含まれます。また、教育訓練費に関して受給した助成金については、教育訓練費の額から控除する必要はありません。


[解説]

1.所得拡大促進税制における税額控除額の上乗せ要件(教育訓練費が増加した場合)


中小企業者等に係る所得拡大促進税制では、継続雇用者給与等支給額が前年度比で2.5%以上増加し、かつ、教育訓練費が前年度比10%以上増加している場合には、税額控除額が10%上乗せされ、給与総額の前年度からの増加額の25%を法人税額や所得税額から控除することができるとされています(ただし、税額控除額の上限は税額の20%です)。


2.教育訓練費の定義


所得拡大促進税制における教育訓練費には、国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるために支出する費用のうち、企業が教育訓練等を自ら行う場合の外部講師謝金・外部施設使用料等、企業が他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合の研修委託費等、他の者が行う教育訓練等に企業が従業員を参加させる場合の外部研修参加費等などが該当します。

企業が従業員の職務の遂行に必要な知識・技術を習得させるための教育訓練の一環として、資格・検定試験を受験させた場合のその費用も教育訓練費に含まれることとされていますので、今回のご相談の資格試験受験料についても、教育訓練費に含まれることとなります。

ただし、従業員が資格を取得した場合に企業が従業員に支払う報奨金は教育訓練費には含まれないため、注意が必要です。


3.教育訓練費に関する助成金を受給した場合の取扱い


教育訓練費に関し、国等から助成金を受給した場合であっても、その助成金受給額を教育訓練費の額から除外する必要はないこととされています。

この点について、労働者の雇入れ人数に応じて国等から支給を受けた助成金についての取扱い(労働者の雇入れ人数に応じて国等から支給を受けた助成金は、国内雇用者に対する給与等の支給額から除外することが必要)とは異なりますのでご注意ください。




[根拠法令等]
 措法10の5の4、42の12の5、措令5の6の4、27の12の5、措規5の12、20の10

2018.09.27
立ち食い飲食店と消費税軽減税率

[相談]

私は、顧客のための椅子を用意せずに立って食べてもらうスタイルの飲食店(いわゆる立ち食い飲食店)を経営しています。

2019年10月1日から導入される消費税軽減税率制度では、「飲食設備のある場所等において行う食事の提供(いわゆる外食)」については、軽減税率の適用はないとのことですが、立ち食い飲食店についてはどのように取り扱われるのでしょうか。

また、当店は、近所の公園で開催されるグルメイベントに参加することを予定していますが、そのイベントでは移動販売車で調理した食品を販売する予定です。この移動販売車にはテーブルやカウンターの設備は一切ありませんが、この場合は軽減税率の対象となるのでしょうか(顧客がイベント会場である公園のベンチで購入商品を飲食する可能性はありますが、当店は公園管理者等とベンチの使用に関して何らの契約等はしていません)。


[回答]

ご相談の場合、立ち食い飲食店における飲食料品の提供については、残念ながら軽減税率の対象とはなりませんが、移動販売車での飲食料品販売については、軽減税率の対象となります。


[解説]

1.消費税軽減税率制度における「外食」の定義と立ち食い飲食店

2019年10月1日から消費税率が10%に引き上げられますが、飲食料品の売買については軽減税率(8%)が適用されることとなっています。

ただし、「飲食設備のある場所等において行う食事の提供(いわゆる外食)」については、軽減税率は適用されず、標準税率(10%)が適用されます。

この、「飲食設備」には、テーブル・椅子・カウンター等が該当しますが、それら全てがそろっていることは要件とはされていません。

このため、ご相談の立ち食い飲食店のように、店舗に椅子やテーブルがない場合であっても、顧客がカウンターを利用して提供された飲食料品を飲食しているというような場合には、消費税軽減税率制度上は外食に該当するものとして、軽減税率対象外(10%の税率が適用)となります。


2.移動販売車での飲食料品の販売

上記1.の飲食設備とは、必ずしも自己所有である必要はないとされています。

このため、飲食料品販売者と飲食設備所有者(あるいは設置者)が異なる場合であっても、その設備を飲食料品購入者が使用することについて、飲食料品販売者と飲食設備所有者(あるいは設置者)が合意や契約等をしている場合には、その飲食料品の販売は外食に該当するものとして、軽減税率対象外(10%の税率が適用)となります(例:ショッピングモールのフードコートなど)。

さて、今回のご相談の場合は、①公園のベンチは誰もが利用できる公共物であること(自己所有ではない)、②今回のイベント出店にあたって公園管理者等とベンチ使用について何らの契約等はされていない、とのことですので、上記の考え方からご相談のイベントにおける移動販売車での飲食料品の販売については、軽減税率が適用(8%の税率が適用)されることとなります。


ここまで述べたように、同じ飲食料品を販売する場合であっても、その販売形態によって消費税の適用税率は異なってきます。

今回のご相談事例では、仮に、グルメイベントにおける移動販売車での飲食料品販売の適用税率を10%と誤解してしまっていたら、他の店舗より2%高い価格で販売することとなり、売上の低迷や、顧客とのトラブルが起こっていたかもしれません。

このように、消費税軽減税率制度導入後の飲食料品の販売については、適用すべき税率を事前にしっかりと確認しておくことが、売上の確保や店舗運営管理の効率化にもつながると思われますので、税理士等の専門家ににご相談ください。


[根拠法令等]
 所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)附則34、軽減通達8、9

2018.09.27
健康保険の被扶養者認定について

10月1日から健康保険の被扶養者認定が厳格化されます。この実務的な取り扱いが日本年金機構から公開されました。

ポイントは、被扶養者としての認定を受ける家族の続柄や年間収入を確認するため添付書類を具体的に示す一方で、「添付の省略ができる場合」として以下のように示しています。

(1)続柄の確認
 次のいずれにも該当するとき

・被保険者と扶養認定を受ける方双方のマイナンバーが届書に記載されていること
・戸籍謄(抄)本または住民票により、扶養認定を受ける方の続柄が届書の記載と相違ないことを確認した旨を、事業主が届書に記載していること

(2)収入の確認

・扶養認定を受ける方が、所得税法上の控除対象の配偶者または扶養親族であることを確認した旨を、事業主が届書に記載しているとき
・16歳未満のとき

(3)仕送りの事実と仕送額の確認

・16歳未満のとき
・16歳以上の学生のとき

一般的には、健康保険の被扶養者として扱う家族は、所得税法上の控除対象の配偶者または扶養親族であることが多いかと思いますので、マイナンバーを記載し、会社で戸籍謄(抄)本または住民票を確認することで、多くの場合は添付書類を省略できるようになると推測されます。
詳細は、日本年金機構が公開したリーフレットを確認しておきましょう。

なお、この取扱いの変更に伴い、「健康保険 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)」の裏面の記入方法と添付書類の記載内容が変更されているとのことです。

日本年金機構リーフレット「健康保険被扶養者認定事務の変更に伴うお願い」

参考リンク日本年金機構「健康保険被扶養者の手続きについて」

2018.09.26
所得拡大促進税制と定年再雇用制度の関係

[相談]

3月決算法人です。

次回法人税申告で、給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除(以下「所得拡大促進税制」)を適用するにあたり、継続雇用者から除外される「継続雇用制度の対象者」について、継続雇用制度の概要も含めて教えてください。

従業員数は8人で、そのうち、近日中に60歳定年に到達する者が1名います。この1名について、本人の希望に基づいて定年後の再雇用を行う予定です(再雇用後の給与は、職務の範囲が定年前より縮小することに伴い、定年前の80%程度に減額する予定です)。

また、従業員数が10人未満であることから、就業規則の作成と届け出は行っていません(定年年齢は、社内慣行として定まっています)。


[回答]

平成30年4月1日以後に開始する事業年度の法人税の所得拡大促進税制の継続雇用制度の対象者や継続雇用制度の概要については、下記解説をご参照ください。なお、ご相談の場合、所得拡大促進税制の適用にあたっては、継続雇用制度に関する社内規程の整備等を提案しておいたほうがよいと思われます。


[解説]

1.継続雇用制度の概要

我が国では、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「高齢者雇用安定法」)によって、企業が従業員の定年についての定めをする場合には、原則的に、その定年は60歳以上にする必要があると定められています。

さらに、定年年齢が65歳未満である場合、企業は、①65歳までの定年の引上げ、②65歳までの継続雇用制度の導入、③定年の廃止、のいずれかの措置を実施する必要があるとも定められています。

そのうち、「継続雇用制度」とは、65歳未満で定年となった後の継続雇用を希望する従業員全員(原則)に対し、定年後も引き続いて雇用する「再雇用制度」などの制度をいいます。
なお、当分の間60歳以上の労働者が生じない企業であっても、65歳までの定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の措置を講じていなければならないこととされています。


2.所得拡大促進税制の継続雇用者と継続雇用制度の関係

所得拡大促進税制における継続雇用者とは、以下の全ての要件を満たす者とされています。

①前事業年度及び適用年度の全ての月分の給与等の支給を受けた国内雇用者であること
②前事業年度及び適用年度の全ての期間において雇用保険の一般被保険者であること
③前事業年度及び適用年度の全てまたは一部の期間において高齢者雇用安定法に定める継続雇用制度の対象となっていないこと

上記③で高齢者雇用安定法に定める継続雇用制度の対象者(以下「定年再雇用者」)が所得拡大促進税制上の継続雇用者から除外されているのは、一般的に、定年再雇用者の給与は定年前より低下する傾向が強いため、定年再雇用者を継続雇用者に含めると、所得拡大促進税制における給与等増加額の要件を満たしにくくなるからです。

ただし、所得拡大促進税制上の定年再雇用者として認められるためには、下記の要件のいずれも満たすことが必要であるとされています。

①法人等の就業規則において継続雇用制度を導入している旨の記載があること
②雇用契約書などの雇用関係を証する書類や賃金台帳(労働基準法施行規則に定める項目の記載があるものに限ります)のいずれかに、継続雇用制度に基づき雇用されている者である旨の記載があること

このため、定年再雇用者を継続雇用者から除外するには、企業が単に継続雇用制度を導入していると謳うだけでなく、就業規則においてその旨を定め、かつ、労働法令上の各種書類にその旨を明記する必要があります。

今回のご相談の場合、定年再雇用者の給与が定年前の80%程度に減額されるとのことですから、所得拡大促進税制の適用判定等を納税者有利にするためには、就業規則や雇用契約書等を整備し、定年再雇用者を継続雇用者から除外できるよう、あらかじめ準備しておくことが必要ではないかと思われます。


[根拠法令等]
 措法42の12の5、措令27の12の5、措規20の10、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律1、8、9、労働基準法89、108、労働基準法施行規則54など

2018.09.25
7割で労働基準関係法令違反がみられた労働基準監督署の監督指導

過重労働対策の重要性が高まっており、労働基準監督署においてもその監督指導が積極的に行われています。先日、厚生労働省から長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導の結果が公表され.ています。


1.監督指導の対象

今回の監督指導の結果は、2017年4月から2018年3月までに、長時間労働が疑われる事業場に対し、労働基準監督署が行った監督指導の実施結果を取りまとめたものです。監督指導の対象は、時間外・休日労働時間数が1ヶ月あたり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等の労災請求が行われた事業場で、25,676事業場に対して実施されました。


2.法違反の状況


この25,676事業場に対して監督指導を実施した結果、18,061事業場(全体の70.3%)で労働基準関係法令違反が見られました。主な法令違反は以下のようになっています。

・違法な時間外労働があったもの 11,592事業場(全体の45.1%)
・賃金不払残業があったもの 1,868事業場(全体の7.3%)
・過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの 2,773事業場(全体の10.8%)

全体の45.1%を占めていた違法な時間外労働とは、労働基準法第32条違反のことを言い、具体的には36協定の届出をしないまま時間外労働をさせていたものや、36協定で定める限度時間を超えて時間外労働をさせていたものなどが該当します。


3.労働時間の適正な把握に関する指導状況


違法な時間外労働を防止するためには労働時間を適正に把握していくことが必要不可欠ですが、今回の監督指導を実施した事業場のうち、4,499事業場に対して、労働時間の把握が不適正であるため、「労働時間適正把握ガイドライン」に適合するよう指導が行われました。指導の内容を確認すると、始業・終業時刻の確認・記録が2,319事業場ともっとも多く、実態調査の実施(自己申告制を採用している場合)が2,209事業場と続いています。

この実態調査の実施(自己申告制を採用している場合)については、労働時間適正把握ガイドライン4(3)ウ・エを指し、自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているかの実態調査を行い、所要の労働時間を補正したり、自己申告した労働時間を超えて職場に残っている時間について、その理由等を労働者に報告させる場合、その報告が適正に行われているかについて確認することが求められています。


働き方改革関連法が成立し、2019年4月より時間外労働の上限規制がスタートします。その前提として、より一層、労働時間を適正に把握することが重要になってきます。企業としては、「労働時間適正把握ガイドライン」に基づく始業・終業時刻の確認・記録を実施し、定期的に実態調査などを行うことで、出退勤の記録と実態が乖離していないかを確認していきましょう。


■参考リンク厚生労働省「長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します」
厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(労働時間適正把握ガイドライン)

2018.09.20
会社による食事代補助と源泉所得税

[相談]

従業員の定着率向上を図るため、従業員の昼食代を補助する制度を導入することとなりました。

その制度では、従業員用の昼食(弁当)を1食あたり360円(税抜き)で外部業者に注文し、その代金を会社が業者に支払った後、従業員からは1食あたり250円を徴収する予定です(なお、従業員の勤務日数は、1ヶ月あたり22日です)。

このような場合、会社から従業員に対する食事代補助について、源泉所得税の徴収は必要でしょうか。



[回答]

ご相談の場合は、食事代補助についての源泉所得税の徴収は必要ないものと考えられます。


[解説]

1.食事代補助が非課税とされる要件

所得税法上、役員や従業員に支給する食事は、次の2つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されないこととされています。

(1)役員や従業員が食事の価額(仕出し弁当などを取り寄せて支給している場合には、業者に支払う金額)の半分以上を負担していること。
(2)食事の価額から、役員や従業員が負担している金額を控除した金額(会社からの食事代補助額)が、1ヶ月あたり3,500円(税抜き)以下であること。
※現金で食事代の補助をする場合には、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり300円(税抜き)以下の金額を支給する場合を除き、補助をする全額が給与として課税されます。

なお、残業又は宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよいことになっています。


2.具体的な計算例

ご相談の場合について、上記1.の要件に当てはまるかどうかを確認してみます(金額はいずれも税抜きです)。

(1)食事の価額の半分以上を従業員が負担しているかどうか

① 1ヶ月あたりの食事の価額は、360円×22日=7,920円です。
② ①より、その半分の価額は、7,920円×1/2=3,960円となります。
③ 従業員の負担額は、250円×22日=5,500円です。

以上より、②≦③となるため、「食事の価額の半分以上を従業員が負担する」という要件を満たしていることとなります。

(2)会社からの食事代補助額が、1ヶ月あたり3,500円以下であるかどうか

1ヶ月あたりの食事代補助額は、7,920円-5,500円=2,420円です。
このため、「食事代補助額が、1ヶ月あたり3,500円以下であること」という要件も満たすこととなります。


以上より、ご相談の食事代補助制度については、所得税は課税されない(源泉所得税の徴収は不要)ものと考えられます。

なお、食事代補助制度が所得税法上の要件を満たしていない場合には、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を差し引いた金額が給与として課税されますので、その部分について源泉所得税の徴収が必要となります。


制度導入にあたっては、税制面からの検討が必要となる場合もありますので、事前に顧問税理士等の専門家にご相談ください。


[根拠法令等]
 所法36、所基通36-24、36-38、36-38の2、昭59・7直法6-5、平元直法6-1など

2018.09.20
不動産登記が漏れていないか調べる方法

[相談]

先日、土地家屋調査士の先生から、「相続登記がされていない土地の所有者が、法定相続人である貴方であることが分かったので、境界確定のため立会をお願いしたい」と連絡がありました。

私は、この土地の存在を全く知らなかったため、他にも相続登記がされていない土地がないか心配です。被相続人が所有していた不動産を調べる方法はあるのでしょうか。


[回答]

被相続人が所有していた不動産について、一括してすべてを調べることはできませんが、所有不動産があると想定される市区町村で名寄帳を閲覧したり、不動産の登記事項証明書の共同担保目録を確認したりすることで、調べていくことになります。


[詳細解説]

まずは、どのような不動産に相続による移転登記漏れが発生しやすいかをご説明いたします。

相続登記が漏れるということは、「被相続人が所有していることを(相続人が)知らない」不動産があるということになります。一般的に、個人が所有している不動産を確認する場合、毎年送付されてくる固定資産税の課税明細や納税通知書を見ることが多いと思います。

しかし、固定資産税の課税明細等には、「固定資産税が課税されている不動産」しか記載されておらず、言い換えれば「固定資産税が課税されていない不動産」は課税明細等に記載されていないため、相続の移転登記漏れが発生しやすいといえます。土地の場合、課税標準額が30万円未満、家屋の場合は20万円未満の場合、固定資産税が課税されない(課税明細に記載されない)ことになります。

固定資産税が課税されていない不動産の有無は、各市町村で取得できる「名寄帳(なよせちょう)」で確認できます。この名寄帳には、固定資産税が課税されていない不動産も記載されているため、非課税の不動産も含めて確認できます。

しかしながら、名寄帳はあくまで市町村単位でしか発行されないため、どの市町村に不動産を所有しているかを把握していないと、すべてを確認することは難しいかもしれません。

また、別の方法として、「共同担保目録」の内容を確認するという方法があります。

これは、不動産を担保に融資を受けていること(抵当権が設定されていること)が前提となりますが、金融機関から融資を受ける場合、1つの不動産だけではなく、他に所有している不動産も抵当権の目的物とされること(共同担保)があります。その場合、「共同担保目録」が作成され、不動産登記情報として記載されます。 

登記情報を確認する際に、「共同担保目録」を記載するように依頼すれば、共同担保の一覧が記載されますので、その内容を確認することで、相続人の方が「知らない不動産」の存在を確認できることがあります。

市区町村から届く固定資産税の課税明細及び自宅などに保管されている不動産の権利証(登記済証)や登記識別情報などを頼りに、名寄帳、登記事項証明書の共同担保目録を調べることで、すべてではありませんが所有している不動産を確認することができます。

※平成17年3月の不動産登記法の改正施行により、登記完了後発行されていた登記済権利証に代わり、登記識別情報が通知されるようになっています。登記識別情報は登記申請の際に、本人確認手段の一つとして使用する暗証番号のようなものです。

2018.09.18
健康保険被扶養者の手続きについて

平成30年10月1日以降に日本年金機構で受け付ける「健康保険 被扶養者(異動)届」及び「船員保険 被扶養者(異動)届」について、添付書類の取扱いが変更になります。

日本年金機構 健康保険被扶養者の手続きについて~日本年金機構

2018.09.17
事前確定届出給与に関する届出書の提出期限

[相談]

6月決算法人にて役員賞与を支給することになりました。

前期決算(決算日:X年6月30日決算)にかかる株主総会はX年8月25日午前10時に開催され、その場において役員賞与(金銭)の支給が決定されています。

この場合、役員賞与にかかる事前確定届出給与に関する届出書の提出期限は、9月24日、9月25日のどちらなのでしょうか。


[回答]

ご相談の場合、事前確定届出給与に関する届出書の提出期限は、X年9月25日となります。


[解説]

1.事前確定届出給与の概要


事前確定届出給与とは、法人の役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定め(以下「事前確定届出給与に関する定め」といいます。)に基づいて支給する給与(定期同額給与及び利益連動給与を除きます)をいいます。

その事前確定届出給与に関する定めについては、提出期限までに納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出書を提出しなければならないこととされています。

その事前確定届出給与に関する届出書の提出期限は、原則的には、次の(1)又は(2)のうちいずれか早い日です。

(1)株主総会等の決議によりその事前確定届出給与に関する定めをした場合におけるその決議をした日(その決議をした日が職務の執行を開始する日後である場合にはその開始する日)から1ヶ月を経過する日

(2)その会計期間開始の日から4ヶ月を経過する日


2.「決議をした日から1ヶ月を経過する日」とは

上記1.(1)の「決議をした日から1ヶ月を経過する日」について、国税通則法上、国税に関する期間の計算においては、原則として初日は算入しないこととされていることから、株主総会等の開催日の翌日を起算日とし、その日から1ヶ月を経過する日となります。

このため、今回のご相談の場合は、株主総会の開催日であるX年8月25日の翌日(X年8月26日)から数えて1ヶ月を経過する日、すなわち、X年9月25日となります。

また、上記1.(2)については会計期間開始の日(X年7月1日)から4ヶ月を経過する日は、X年10月31日となります。

これは、国税通則法10条に下記の例外が定められているからです。
「期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるとき、又は国税に関する法律に別段の定めがあるときは、この限りでない。」

このため、株主総会から始まる役員の任期は、午前零時スタートではないことから、原則通り初日不算入となります。

しかしながら、会計期間の計算初日は午前零時からスタートするため、例外規定が適用され、初日も算入されることとなります。

したがって、今回のご相談の場合における事前確定届出給与に関する届出書の提出期限は、X年9月25日とX年10月31日のいずれか早い日、すなわち、X年9月25日となります。


各届書の提出期限については、該当条文等でしっかりと確認しておかれることをおすすめいたします。


[根拠法令等]
 法法34、法令69、155、法規22の3、通法10など

2018.09.13
労災上乗せ給付と所得税

[相談]

当社で労働災害が発生し、従業員が怪我の治療のため長期休職することとなりました。

このような場合、当社の就業規則では、労災保険からの給付(休業補償給付)に加えて、独自の給付(上乗せ給付)を実施することとなっています。

この上乗せ給付について、所得税は課税されるのでしょうか。


[回答]

ご相談の上乗せ給付については、所得税は課税されません。


[解説]

1.労働基準法上の災害補償と労災保険の関係

労働基準法では、業務上の負傷や疾病について、使用者に対して労働者への補償責任が定められています。その補償の種類は療養補償・休業補償などで、補償額は労働者の平均賃金(疾病が確定した日の直前の3ヶ月間に労働者に対して支払われた賃金の総額を、その期間の日数によって除して算出した額)を基礎として算定されます。

そのような使用者の災害補償責任の履行を確保するために、労働基準法とともに制定されたのが、労働者災害補償保険法(労災保険法)です。この労災保険法に基づいて給付が行われる場合には、使用者は労働基準法上の災害補償責任を免れることとされています。

つまり、労働基準法上の使用者の災害補償責任を、労災保険制度を通じて、政府が代わりに行う仕組みが確立されているのです。


2.労災保険法の休業給付の内容

労災保険法では、休業期間の4日目から「休業補償給付」、および「休業特別支給金」が支給されることとされています。その給付額は、大まかに言いますと、休業補償給付と休業特別支給金を合わせ、平均賃金の80%です。

なお、休業の初日から第3日目までは「待期期間」といい、この3日間については、使用者が労働基準法の規定に基づく休業補償(1日につき平均賃金の60%)を行うこととされています。


3.労災上乗せ給付への所得税の課税関係

労働基準法に定められている各給付は、使用者が守らなければならない最低の補償を定めたものであって、使用者はさらにその向上を図るように努めなければならないと定められています。

この労働基準法の趣旨に沿って、今回のご相談の場合のように、労働災害への補償について企業独自の上乗せ給付を行っている事例がしばしば見受けられます。

そのような上乗せ給付については、その性格が法定給付と同様のものであり、いわば法定給付の追加支給に当たるともいえることから、所得税は課税されないこととされています。

したがって、今回のご相談の休業補償給付の上乗せ給付についても、所得税は課税されないこととなります。




[根拠法令等]
所法9、28、所令20、30、所基通9-24、国税庁タックスアンサーNo.1905「労働基準法の休業手当等の課税関係」、労働基準法1、12、76、84、労働者災害補償保険法12の6、14、50、労働者災害補償保険特別支給金支給規則3など

2018.09.12
一人医療法人社団の休眠

[相談]

 一人医療法人社団です。代表者が高齢で体調も思わしくないため、後継者を探しております。当面は休眠もしくは休業をしたいのですが、認められるでしょうか。



[回答]

医療機関には休止と廃止の手続きが存在します。どちらも認可・許可事項ではないため、その事由の発生後に届出を出すことで手続きが完了します。


□休止について

再開する予定がある場合には休止となり、都道府県等の指定する窓口へ休止届を休止後10日以内に提出します。

□廃止について

再開する予定がない場合には廃止となり、都道府県等の指定する窓口へ廃止届を廃止後10日以内に提出します。廃止すると同一医療機関としては再開できません。仮に再開する場合には、新規に医療機関を開設する手続きをとります。


今回の場合は休止届を提出することになると思いますが、下記の法令についても認識しておく必要がありますのでご注意ください。


<医療法>
第五十五条 社団たる医療法人は、次の事由によつて解散する。
一 定款をもつて定めた解散事由の発生
二 目的たる業務の成功の不能
三 社員総会の決議
四 他の医療法人との合併(合併により当該医療法人が消滅する場合に限る。次条第一項及び第五十六条の三において同じ。)
五 社員の欠亡
六 破産手続開始の決定
七 設立認可の取消し

第六十五条 都道府県知事は、医療法人が、成立した後又は全ての病院、診療所、介護老人保健施設及び介護医療院を休止若しくは廃止した後一年以内に正当な理由がなく病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院を開設しないとき、又は再開しないときは、設立の認可を取り消すことができる。


 第五十五条第一項による解散に注意が必要です。定款によっては、医療機関を休止してから1年以内に再開しないと法人強制解散となる文言が入っている場合があります。また、定款にそのような記載がなくとも、第六十五条により解散となる場合があるのでこちらもご注意ください。



当文書は、回答日現在の法律及びその解釈に基づき作成しています。法律や解釈が変化している場合がございますので、当文書を参考に意思決定される際は、専門家に確認・ご相談されることをお薦めいたします。

2018.09.11
半数程度に留まるマタハラ防止対策実施企業

先日、ハラスメント防止対策の状況をまとめた平成29年度の「雇用均等基本調査」の結果が、厚生労働省より発表されました。

この調査結果の中から、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント(以下「マタハラ」という)の防止に関する取組状況を見てみます。


1.マタハラ防止対策の状況

マタハラの防止措置は平成29年1月1日より企業に義務化されましたが、実際の状況としては56.8%(前回52.8%)で取組が行われ、対応が進みつつあることが分かります。これを企業規模別にみると、労働者数5,000人以上では96.6%(前回89.8%)、1,000~4,999人では96.6%(前回87.1%)、300~999 人では92.4%(前回82.5%)、100~299人では84.7%(前回74.7%)、30~99人では63.5%(前回61.7%)、10~29人では49.3%(前回45.3%)となっています。

企業規模が大きくなるほど取組割合が高く、また前回の調査結果と比べると、すべての企業規模で取組の割合が増えていますが、労働者数が少ない規模では、まだまだ取組が浸透していないようです。



2.マタハラ防止対策に向けた取組み

具体的なマタハラ防止対策としては、就業規則等にマタハラ禁止についての方針を定めたり、研修を実施したり、相談窓口を設置することが挙げられます。

この中で、研修については、どのような行動や発言が問題となるのか、具体例を挙げながら理解を深めるとよいでしょう。併せてマタハラには該当しないとされる業務上の必要性に基づく行動や発言があることから、マタハラに該当するもの、しないものを整理して理解することが求められます。

例えばマタハラには該当しない例としては、以下のようなものがあります。

(1) 業務体制を見直すため、上司が育児休業をいつからいつまで取得するのか確認すること

(2) 業務状況を考えて、上司が「次の妊婦健診はこの日は避けてほしいが調整できるか」と確認すること※1

(3) 上司が、長時間労働をしている妊婦に対して、「妊婦には長時間労働は負担が大きいだろうから、業務分担の見直しを行い、あなたの業務量を減らそうと思うがどうか」と配慮すること※2

※1 制度等の利用を希望する労働者に対する変更の依頼や相談は、強要しない場合に限られます。
※2 このような配慮については、妊婦本人にはこれまで通り勤務を続けたいという意欲がある場合であっても、客観的に見て、妊婦の体調が悪い場合は業務上の必要性に基づく言動になります。

ハラスメントは、問題が発生してから対応の甘さが指摘されることが多くあります。この機会に研修内容を見直したり、1年に1回、定期的に研修を実施するなどして、防止に向けた取組をしていきましょう。


■参考リンク
厚生労働省「平成29年度雇用均等基本調査(確報)」

2018.09.06
従業員の医療費を会社が負担した場合の課税関係

[相談]

最近、人材市場が超売り手市場となっていることが影響し、私が経営する会社では新卒採用だけでなく、中途採用でも非常に苦戦しています。

このような状況下で退職者が発生すれば、残った従業員への業務負担が増加し、その結果、退職者がさらに増加するという悪循環に陥ることが目に見えています。

そこで私の会社では、従業員の待遇を改善して定着率を向上させるための方策の一つとして、従業員が業務外の疾病で医療費を支払った場合に、役職等を問わず、その自己負担額の一部(上限10,000円)を会社が負担するという制度(医療費補助制度)の創設を検討しています。

この制度の運用を実際に開始した場合、会社が負担した医療費は、所得税法上どのように取り扱われるでしょうか。

なお、私が経営している会社は、全国健康保険協会が管掌する健康保険制度(協会けんぽ)に加入しています。


[回答]

ご相談の場合、医療費補助制度によって会社が負担した医療費の自己負担額の一部については、所得税法上の見舞金に類するものとして非課税として取り扱われる可能性が高いものと考えられます。


[解説]

1.「協会けんぽ」と「組合健保」の違い

会社(法人)に勤務する方の多くは、「協会けんぽ」あるいは「組合健保」のどちらかの健康保険の被保険者となっています。

この2つは名前がよく似ていますが、実は、いくつかの相違点があります。

(1)加入する企業の違い
まず、中小企業を中心に加入しているのが「協会けんぽ」です。協会けんぽは、全国健康保険協会が運営しています。

一方、「組合健保」は、常時700人以上の従業員が働いている企業が、自前で健康保険組合を設立したものです(共同設立の場合は、合計で、常時3,000人以上の従業員がいることが要件です)。このように、組合健保は、大企業やそのグループ会社、子会社が主に加入しています。

(2)保険料や給付内容の違い
・保険料の違い
協会けんぽと組合健保では、保険料が違います。

まず、協会けんぽの保険料は、全国健康保険協会が都道府県別に料率を設定します。

この料率を、標準月額報酬(給与を基準として法律の規定に基づいて算出したもの)に乗じて保険料を計算します。

一方、組合健保の場合は、保険料率は3%~13%の範囲で健保組合ごとに協会けんぽとは別の保険料率を設定して良いこととされています。

このため、多くの健保組合では、協会けんぽよりも少し低い保険料率を設定しています。

・「付加給付」の有無
協会けんぽと組合健保のもう1つの大きな違いは、組合健保には「付加給付」があるという点です。

業務外の疾病で医療機関を受診した場合、法定の自己負担割合は協会けんぽ、組合健保ともに原則3割(残りの7割を協会けんぽや組合健保が負担)です。

これに加え、組合健保では「付加給付」という、健康保険法で認められている独自の制度があります。

付加給付の内容は各健保組合によって異なりますが、例えばある健保組合では、1か月の自己負担額の上限が20,000円とされています。つまり、医療費がどれだけかかったとしても、その健保組合の加入者の自己負担額は、一か月20,000円までなのです。

医療費の自己負担額の上限が決まっていれば、個人で生命保険会社の医療保険に加入する必要性は非常に低くなり、家計支出はかなり少なくなるでしょう。

このように、自分が勤務する会社の規模等によって、健康保険から受けられる給付の額が大きく異なることがあるのです。

2.付加給付への所得税の課税関係

上記1.の内容からすると、健保組合の被保険者は、付加給付によって協会けんぽの被保険者より多くの経済的利益を受けられるのだから、組合健保の被保険者は付加給付を受けた部分について所得税を課税されるのではないか、という疑問が生じるかもしれません。

しかし、健康保険法では、租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として課することができないと定められています。

付加給付は健康保険法で認められた保険給付の一つですので、上記の定めにより、付加給付に対して所得税は一切課税されないのです。


3.会社独自の医療費補助制度についての課税関係

今回のご相談の医療費補助制度と健保組合の付加給付はいずれも、被保険者の医療費を支出したことによる経済的負担を軽減させる目的で給付されるものと解せられますので、この点において両者の差異は認められません。

さらに、ご相談の医療費補助制度については、①会社での役職等を問わず、従業員の医療費負担の状況に応じてその給付額が定められること、②支給限度額が10,000円とされており、社会通念上多額な負担とまではいえない、と考えられます。

したがって、ご相談の医療費補助制度による給付については、勤務等の対価(給与)である性質よりも、業務外の疾病によって医療費負担を余儀なくされた従業員について支給する、いわゆる見舞金としての性格が強いものといえます。

よって、ご相談の医療費補助制度については、所得税法上の見舞金に類するものとして非課税として取り扱われる可能性が高いものと考えられます。


制度導入にあたっては、今回のように所得税法上の観点から詳細な検討が必要となりますので、事前に顧問税理士等の専門家にご相談ください。

[根拠法令等]
 所令30、所基通73-8、73-9、健康保険法5、6、11、62、76、160、161、162、健康保険法施行令1の2など

2018.09.04
軽減税率対策補助金の申請について、経済産業省中小企業庁から注意喚起

消費税率引上げとそれに伴う軽減税率制度等の諸制度は、来年10月1日スタートと、約1年後にせまってきています。事業者のみなさまは、諸制度に対応するためのレジの導入やシステム改修等、本格的に行なっていることと思います。

このレジの導入やシステム改修等について、小規模事業者を含む中小企業者は補助金を申請し、受給することができます。たとえば複数税率対応のレジを導入する場合は、1台20万円を上限に補助金を受け取ることができます(A型)。この他、受発注システムの改修や入替は1,000万円を上限とした補助(補助率:費用の3分の2)もあります(B型)。

この補助金申請は、スタート前日である来年9月30日までに完了しているものに限られていますので、そろそろラストスパートの時期に入ってきているといえるでしょう。


この補助金は既に7万件を超える事業者に対して交付されている状況となっているようですが、管轄官庁である経済産業省中小企業庁より注意喚起の文書が先日発出されました。

【重要】経済産業省中小企業庁より、本補助金の申請等に当たっての注意喚起の文書が発出されました。


内容は、不正受給(申請)に対するものです。

2枚目に具体例が示されていますが、その多くがA型の「複数税率対応のレジ導入」に関する事例で、現地調査により申請内容と実態が合っていないと判明されたものです。

また、レジ販売者からの勧誘で不正受給に発展するようなレジの購入を行い、結果的に購入側の事業者が痛い目を見ている例も紹介されています。

このように実際、現地調査は行なわれているようですので、実態と合わない申請は控えるようにしましょう。

2018.08.30
小規模宅地等の減額

[相談]

貸付事業用50%減額に該当するかについて教えてください。

相続人が被相続人から土地を有償で賃借しています。建物は相続人が所有し、土地と建物を相続人から法人へ、有償で賃貸しています。相続人は、被相続人から土地を賃借し、法人へ転貸している状態です。

この場合、小規模宅地の減額はできますか。


[回答]

貸主と借主が同一人となり、被相続人の貸付事業(土地を相続人に貸付け)を継続しなくなるため、貸付事業用宅地等に該当しないと考えます。

措置法69の4③四
四 貸付事業用宅地等 被相続人等の事業(不動産貸付業その他政令で定めるものに限る。以下この号において「貸付事業」という。)の用に供されていた宅地等で、次に掲げる要件のいずれかを満たす当該被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したもの(特定同族会社事業用宅地等及び相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等(相続開始の日まで3年を超えて引き続き政令で定める貸付事業を行つていた被相続人等の当該貸付事業の用に供されたものを除く。)を除き、政令で定める部分に限る。)をいう。

〔令40の2⑥⑦⑮〕
イ 当該親族が、相続開始時から申告期限までの間に当該宅地等に係る被相続人の貸付事業を引き継ぎ、申告期限まで引き続き当該宅地等を有し、かつ、当該貸付事業の用に供していること。


相続人が被相続人から借りていた土地を取得することにより、貸付事業は継続されなくなります。

なお、生計一の場合には、措置法69の4③四のロに該当し、貸付事業用宅地等に該当します。



当文書は、回答日現在の法律及びその解釈に基づき作成しています。法律や解釈が変化している場合がございますので、当文書を参考に意思決定される際は、専門家に確認・ご相談されることをお薦めいたします。

2018.08.29
医療法人の解散に際しての退職金

[相談]

出資持分ありの医療法人です。出資持分なし医療法人(基金を採用しない)への移行も視野に入れつつ、新たに医院を開業するための土地の取得を検討しています。

将来後継者が見つからず解散をする際、当該土地を第三者に売却して得た金銭を院長の退職金とする、または、売却せずに土地そのものを院長の退職金とすることは、医療法上、問題ないでしょうか。


[回答]

土地を第三者に売却する場合、社員総会または理事会の承認が必要となります。

院長に退職金として土地を現物支給することは、利益相反取引となりますので、土地の売買と退職金を同時に、社員総会または理事会で承認を得る必要があります。

決議の際には、

・退職金が過大ではないという説明資料
・土地の売買価格が適正である説明資料

が、必要になります。


基本財産の処分について、定款にどう謳われているかの確認も必要です。


解散後に、院長と土地の売買契約書を締結する場合、院長が清算人になっていると自己契約になってしまいますので、売買決議日と売買契約日と解散日を考えて、清算人の決定をする必要があります。


当文書は、回答日現在の法律及びその解釈に基づき作成しています。法律や解釈が変化している場合がございますので、当文書を参考に意思決定される際は、専門家に確認・ご相談されることをお薦めいたします。

2018.08.27
社葬費用の法人税法上の取扱い

[相談]

会社の創業者で、その会社の事業の発展に多大な貢献があった会長が亡くなられました。
会長の葬儀を社葬として行ったのですが、会社が支出した社葬に関する費用は、法人税法上の損金の額に算入することが認められるでしょうか。

また、社葬の会葬者が持参した香典等について、その会社の収入として計上すべきかどうかを教えてください。



[回答]

ご相談の場合、社葬に要した費用は、会社が支出した事業年度の損金の額に算入することが認められる可能性が高いものと考えられます。

また、会葬者が持参した香典等については、会社の収入として計上せず、遺族の収入とすることができます。


[解説]

1.社葬費用を損金算入できる場合

本来、個人の死亡に際しては、遺族がその葬儀費用を負担すべきです。

ただし、その個人が在職していた会社の事業に著しく貢献した場合には、会社がその個人の生前の会社業績への貢献に応えるため、その葬儀を社葬として行って費用負担をするケースがしばしば見受けられます。

そのような場合、法人税法上は、①その社葬を行うことが社会通念上相当であって、②会社が負担した金額が社葬のために通常要する費用である場合に限り、会社が社葬費用を支出した事業年度の損金の額に算入することが認められています。

ご相談の場合、亡くなられた方が会社の創業者であり、その会社の事業の発展に多大な貢献があったとのことですので、上記①の要件を満たす可能性は高いものと思われます。

したがって、会社が支出した社葬費用のうち、社葬のために通常要する費用については、支出した事業年度の損金の額に算入することが認められる可能性が高いものと考えられます。


2.社葬のために通常要する費用の範囲

社葬に際して支出した費用のうち、明らかに故人の遺族が負担すべきであると認められる下記のような費用については、会社の費用としては認められないものと考えられます。

(社葬に関する費用のうち、損金算入が認められないと考えられるものの例)
 ・戒名や院号を受けるための費用
 ・仏壇や位牌等に要する費用
 ・香典等を遺族の収入とした場合に、会葬者へ遺族が行う香典返しの費用
 ・法要費用
 ・除籍手続、死亡診断書などの手続き費用
 ・墓地や墓石の費用


3.香典等の取扱い

法人税法上、社葬の会葬者が持参した香典等を法人の収入としないで遺族の収入としたときは、これを認めるものとされています。

したがって、ご相談の場合も、香典等を会社の収入ではなく、遺族の収入とすることができることとなります。

なお、後日の税務調査で会社負担額の一部が否認された場合、その否認額は本来遺族の負担すべき費用を会社が負担したものであると考えられるため、遺族に対する贈与と認定されることになりますのでご留意ください。


[根拠法令等]
 法基通9-7-19,9-2-9,9-4-2,相法21条の3,所基通34-1(5)など

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